Autoスピーカ#00:コンセプト1ーハイエンドな高音質

デスクトップタイプの傑作の1つと自負するAutoスピーカ。そのコンセプトから詳しく説明していきます。

まず第1段は3つのコンセプトのうち、最初の「ハイエンドな高音質」について語ります。

オーディオは主観の世界なので、高音質と言っても千差万別で、かつ音質が悪くても良いと誤解できるような表現もできます。そこで、Autoスピーカは、単なる高音質ではなく、目指す音質を具体的に5項目にまとめました。高音質の5か条です。

  1. あくまで「音楽を聴く道具」であること
    アンプもスピーカも美しく音楽や声等を再生し、その空間の質を高くすることを目的とします。眉間にしわを寄せて音質を批評するより、そこにいる方々が笑顔になる音楽を再生する道具であることを第1義とします。従って、ひずみ率、周波数特性や出力容量等は参考にしますが目標ではありません。
  2. 低音から高音まで一体となること
    音楽を聴くことが大切なので、音の志向性が低音から高音まで一体となっていることが重要です。従って、フルレンジ一発がベスト、分けたとしても2wayまでで、音の傾向が低音から高音まで一体であることが必須です。必然的にKSP-400シリーズはフルレンジ一発です。
    (小型スピーカの場合、サブウーファーを追加することがありますが、当社のコンセプトではサブウーファーは対象外です。低音の一部だけ全然別の傾向の音質になってしまい、とうてい自然な音にはなりえないからです。数十Hz以下の極超低音のみサブウーファということは考えられますが、KSP-400シリーズでは対応できません。)
  3. 一つ一つの楽器がくっきりすること
    これは特に高い解像度が必要で、中高音が重要です。小口径スピーカで低音を出そうとすると、振動版をある程度重くしつつ振幅のストロークを多くとる方向になり、中高音の繊細な振動を犠牲にすることになります。最近のBluetoothスピーカや小型で低音を強調する有名ブランドのスピーカ等は特にその傾向が強くなり、中高音が奥に引っ込んだような音になります。KSP-400シリーズではそれは許されません。繊細で美しい音質になるよう、実際に多くのユニットを試聴して決定しました。
  4. 音像の定位が良いこと
    小口径小型スピーカは理想的な点音源になります。従い、音像定位が抜群に良くなります。そのためには解像度が高く、繊細な振動がかのうなユニットが必要となります。
  5. 自然でのびやかな音質であること
    これは特に低音域と中高音のバランスが重要となります。アコースティックでもエレキでも伸びやかなベース音を再生するためには、基音となる低域をしっかりと再生しつつ、倍音成分(高調波)の再生が重要です。200Hzのベース音は、偶数高調波だけでも6種類発生しますが、1KHzを基音とする楽器は4種類の偶数高調波しかありません。美しく伸びやかな音質を実現するためには、基音となる低域をストレスなく再生しつつ高調波となる広域まで連続的に再生する能力が必要です。

 

上記5つのコンセプトを実現するために、KSP-400シリーズは小型でありながらダブルバスレフ構造になりました。基音となる低域をしっかりと再生しながら中高音の振動を妨げない方式です。最近よく使われているパッシブラジエータは内部の圧力変化を利用するため、スピーカの振動を妨げる傾向があるため、使用できません。ダブルバスレフにすることにより、美しい中高音とともにしっかりとした低域再生が可能になりました。


【番外編】

実は、最初はとても曖昧に、いい音のする邪魔にならないデスクトップスピーカが欲しくて開発していました。当時も今も、ハイエンドクラスは全部10cm以上のウーファーを使った2wayバスレフ形式で、奥行も20cm以上あるものが多く、机の上の多くの面積を占有します。卓上でオーディオを中心にして「いい音です」って、当たり前の話で、ハイエンドでも何でもないと思っていました。卓上で空間利用効率が高く(専有面積が小さく)、良い音のするスピーカを求めて開発したものです。後で整理した結果、上記5か条を目指していたと明確化した次第です。。。

開発ストーリ更新:Autoスピーカ#00:コンセプト1ーハイエンドな高音質

Autoスピーカ開発ストーリとして、新規にコンセプトから詳しく紹介していきます。
⇒詳しくはこちらまで。